「銀歯でいいよ」と言うけれど…
はい今日は俗にいう「銀歯」の作り方を紹介します☆
まずは歯科医院で虫歯の治療の工程で歯の型取り(印象採得)を行います。
型取りに石膏を流し込み硬化させて模型を作ります。
この石膏模型を大事に包装して、製作内容を記載した技工依頼書と一緒に歯科技工所に送ります。
歯科技工所に届きましたら先ず歯科技工士さんが模型一式と依頼内容をチェックします。
石膏模型は技工製作の作業模型となりますので、トリマーをかけたり分割・着脱作業ができるよう事前加工を行います。
加工した作業模型を咬合器に設置し口腔内のかみ合わせを疑似再現します。
これからやっと患歯のかぶせモノの製作に入ります。
作業模型にワックス分離材をコーティングした後、対象歯模型に熱で溶かしたワックスを盛り立てて歯のカタチを再現していきます。この際にワックスを盛ったり削ったりを繰り返して歯のカタチとかみ合わせの調和を整えていきます。
次は出来上がったワックス体を金属に置き換える「鋳造」工程に入ります。
まずはワックス体にスプルーなる金属棒線(金属を流し込む通路の役割)をつけて円錐台に設置します。
出来上がったら内面に緩衝リングを敷いた鋳造用リングを円錐台に設置して、中に慎重に埋没石膏材を流し込みます。
硬化したらスプルー線と円錐台を取り外し、700℃高温まで熱した電気炉内に置き埋没材内部のワックスを焼却していきます。
十分加熱された鋳型リングを遠心鋳造機に設置した後、鋳造金属をガスバーナーで溶かしこみます。
溶けたプルプル状態の金属を遠心力を利用した遠心鋳造機で鋳型リング内に鋳込みます。
鋳型リングを放冷で冷ましたらリング内の埋没材からワックスでカタチ作ったかぶせモノがそのまま金属で再現されています。
あとは内面を表面処理し、外面を形態修正・研磨して完成です☆
そこから各歯科医院へ送りもどし、患者さんの治療時間に調整・セット出来れば…な流れとなります。
いかがでしたか?「保険診療で銀歯」とひとことで言っても、その製作工程は結構大変な職人作業なんです。
私も大学付属歯科病院に所属していた最初の7年間は担当患者さんの歯科技工物の大半はこんな感じで自分で作っていましたので歯科技工士という職業と匠技は『尊い☆』と言わんばかりです。…自分で歯科技工物を作れてこそ歯科技工士さんに物申せる資格がある‼と師匠の名言でした。
歯科技工士さんの現場では色々な歯科医院から多数の依頼を同時に引き受けては、毎日汗水鼻水流しては大変な思いで皆様の歯の治療に尽力いただき感謝しております。
ここ数年で保険診療ではかぶせモノの材質が「金属」から「レジン(プラスチック系樹脂)」に置き換わる傾向にあります。
見た目や強度などそれぞれの特性もありますので、適材適所それぞれに材質を選び設計していけばよいと思います。
例えば同じ奥歯でもガチガチ噛む人は歯に強度や耐久性も求められるため、硬い特徴の金属にするか?それとも厚みを確保した設計のレジンにするか?もひとりひとりのニーズや口内環境で優先度や選択肢も変わってくる…そんな感じです。
保険診療も自由診療もかぶせモノは歯科技工士という匠のオーダーメイド製作になります。
かぶせモノの選択に「保険で銀歯でいいよ」とちょっと気まずく複雑そうなシーンもたまにお見受けしますが…そのアナタのこれから入るだろう銀歯も歯科技工士さんの業物な一品です。(ときどき大業物もあり☆)
アナタの健康と生活をサポートしてくれるオーダーメイドな義歯として、どうか前向きに捉えていただければ幸いです。
追伸…保険診療で取り扱う金属も「パラジウム合金」「銀合金」「チタン」「ニッケル」「コバルト」など様々ですので、セットの前には出来れば確認をおススメします。
